家具を作る工程は、家具の種類によってまったく異なります。ここでは一番シンプルな無垢のテーブルについて、ごく簡単にご説明します。

  1. まずは木を切り、丸太にします。
    丸太から木材を製材します。
    次に、切り出した木材を乾燥させます。
    乾燥は自然乾燥で2〜5年ほど。人工的に乾燥する方法もあります。
    乾燥した木材を荒削り、横面取り、彫りなどの成形、加工作業を経て、机の形にしていきます。
    形が整い表面を磨いたら、塗装して仕上げます。
    どのような色や装飾をするかによって、塗装や仕上げの作業は異なります。
  2. 家具の仕上げ
    家具の見た目を決める最終的な作業、塗装による仕上げについては、家具を購入する場合の決め手になります。少し詳しく取り上げましょう。

    仕上げの方法はたくさんありますが、家具の材料になる木材の色やデザインによって適した方法がとられます。ここでは木材そのものの風合いをいかした家具に使われることの多い、透明塗装仕上げのなかで、代表的なものをあげます。また、塗膜の状態の違いによる仕上げ方法についても簡単にご紹介します。

    ●生地仕上げ{きじしあげ}
    木材に着色をせずに、そのまま無色透明のラッカーやポリウレタン塗料で仕上げる方法です。木材の色が濡れ色(木材が濡れた状態の色)に仕上がり、ちょうど透明の漆を塗ったようになります。ナチュラルカラー仕上げともいいます。チーク、ケヤキ、ローズウッド、シタン、コクタンなどに多く使われています。白木仕上げ
    仕上がりは無色透明ですが、生地仕上げと違い、アミノ樹脂塗料などの無黄変タイプの塗料を使い、塗装による濡れ色を出さない仕上げになります。木地の色、白さがそのままで、何も塗っていないかのように見えるのが特徴です。ブナ、ナラ、マツ、タモ、シオジ、ヒノキ、オーク、バーチ、メープルなど、色の白いものの仕上げに適しています。

    ● オイルフィニッシュ仕上げ
    チークオイルなどの乾燥油を木材のなかに染みこませて拭きあげる仕上げの方法です。オイルの濡れ色で素材の色と木質感が強調されます。オイルフィニッシュ仕上げは、塗装膜を作らないタイプの塗装方法。チーク、ウォールナット、ローズウッドなどに使われます。

    ●ステイン(着色)仕上げ
    木材に素地着色や塗膜着色で色をつけて、さらに付加価値を高める塗装の方法です。ナラ、カバなどをはじめ、多くの木材に施されています。素地着色は染料や顔料に目止め剤を加えた塗料が、塗膜着色は染料や顔料をクリアラッカーに混合した塗料が使われています。塗料を塗ったあとに拭き取り、クリアラッカーをかけるオイルステインクリアラッカー仕上げは、塗膜着色です。

    ● クローズポア・オープンポア・セミオープンポア仕上げ
    塗装膜を作るタイプの仕上げ方法で、塗装の膜の状態によって3段階に分けられます。クローズポア仕上げは、木材のポア(導管)を目止め剤でふさいで、塗面を平滑な状態にした状態のものです。とくにポリッシュ(磨き)を行ない、鏡面にしたものをミラースムーズフィニッシュ(鏡面平滑仕上げ)といい、代表的なものにピアノ塗装があります。木材の導管孔が開いている状態の薄塗りに仕上げるため、ポアが見えるオープンポア仕上げ、オープンとクローズの中間のセミオープンポア仕上げがあります。

    ● マイクロフィニッシュ仕上げ
    塗膜を形成せずに木材の内部に塗料が浸透する仕上げ方法です。浸透仕上げともいいます。

    家具の塗装に使われる塗料の種類
    家具の塗装に使われる塗料も種類が豊富ですが、現在の家具の塗装にもっとも多く使われているのが、ポリウレタン樹脂を中心とする樹脂塗料です。ここでは樹脂塗料の代表的な種類とその特性を紹介します。

    ○ポリウレタン樹脂塗料
    二液性または油変性のポリウレタン樹脂は、多くの優れた特性をもつため、現在もっとも広く家具の塗装に使われています。常温で硬化し、硬くて耐久性があり、付着性も高いため木材の割れにも強く、摩耗や強く薬品にも強いのが特徴です。
    ポリエステル樹脂塗料
    不飽和縮合物にスチレンモノマーを加えた無溶液性の塗料で、塗膜が厚いのが特徴です。熱や気候の変化、薬品にも強いなど優れた特性があります。テーブルやドレッサーなど塗装によく使われています。

    ○アクリルラッカー塗料
    硝化綿とアクリル樹脂がおもな成分である乾燥性の塗料です。塗膜は薄いのが特徴。その薄さにも関わらず、気候の変化に強く、ラッカー塗装に比べると3〜4倍の耐久性があります。黄変も少ないため、白木仕上げなどに使われることが多い塗料です。

  3. 漆塗
    家具の塗装のなかでも、日本で伝統的に行われてきたのが漆を使った塗装です。漆は、漆の木の樹液から精製した天然塗料で、ラッカーゼという酵素が、空気中の水分から酸素を取り込む酸化重合という働きによって、硬くなります。そのため、適度な湿度と温度の中で時間をかけて乾燥させる必要があります。酸・アルカリなどにも強く、剥離しにく性質で、和家具だけでなく洋家具の塗装にも用いられることがあります。注意点は紫外線に弱いこと、乾燥していない状態では、かぶれることなどです。ここでは、漆塗の技法やその特徴をご紹介します。

    ●蒟醤{きんま}
    タイ、ミャンマーが発生地で、日本では天保年間に玉楮象谷がその技法を研究し、完成させました。まず漆を塗り、その面に特殊な刀で模様を線彫りします。その彫り跡に色漆を埋めて乾燥させ、炭研ぎで余分な漆を取り去ると色漆の部分が残り、模様がでるという技法が使われています。

    ●存清{そんせい}
    中国の存清という人物がよく製作したということからこの名がついたといわれています。現在の日本では、江戸時代に玉楮象谷により研究された技法が伝わっています。黒・朱・黄など漆を塗った上に、色漆で模様を描き、その模様の輪郭を線彫りまたは浮彫り状に彫って仕上げます。彫ったままのもののほか、彫った線のなかに金泥を埋めたり、金泥で縁取ったりするものもあります。

    ●彫漆{ちょうしつ}
    木地に漆を何層にも重ね塗りして、植物や動物などの模様を浮き彫りにするという技法です。中国で生まれ宗代に隆盛しました。日本では室町時代に現れた名工・堆朱楊成が知られています。朱色の漆を使う堆朱(ついしゅ)のほか、黒漆の堆黒(ついこく)、黄漆の堆黄(ついおう)などがあります。

    ●春慶塗{しゅんけいぬり}
    黄色または紅色に着色した木地表に、透明漆を上塗して木地を表す手法。この技法で作られたものは、現在でも飛騨、木曽地方で多くみられます。慶長年間に創られ、茶道の名器「飛春慶」にあやかり名付けられたといわれています。琥珀色の美しい色合いと木目の美しさが同時に楽しめるものです。

    ●後藤塗{ごとうぬり}
    明治時代の高松で考案された技法です。中塗(塗装の工程のひとつ)の上に、朱漆に呂色漆を加えたものを薄く塗り、指頭でたたきながら特殊な斑文をつけ、さらに透明の漆を薄く塗って仕上げます。時間が経つにつれ、指でたたいた作業が生きてきて、微妙な色と味わいになってくるのが特徴です。

    ●蒔絵{まきえ}
    漆を塗った面に漆筆で模様を描き、その漆が乾かないうちに金銀の粉を蒔きつけて絵を描く、日本独自の手法です。工程の違いによって、平蒔絵、高蒔絵、研出蒔絵などの種類に分けられます。特徴はその豪華さで、古来からさまざまな工芸品に用いられています。

    ●沈金{ちんきん}
    室町時代に中国から伝わった技法で、日本では輪島塗のものが有名です。 漆塗をした面に沈金刀で絵図や模様を彫り、再度、漆をつけて彫り跡に金銀の箔や粉を埋め込んでいく技法です。

    ●梨子地塗{なしじぬり}
    模様以外の部分に金銀粉や色粉を蒔く地蒔のひとつで、漆塗面に金銀の粉を蒔き、その上に透明の漆をかけて仕上げます。仕上がりが名前の通り、ナシの肌に似ているところからその名があります。

    ●木地呂塗{きじろぬり}
    木目をいかす漆塗の技法・呂色仕上げの手法のひとつ。下塗、中塗、上塗という3回の漆塗の工程のすべてに透漆(半透明の漆)を塗り、最後に磨き仕上げをします。木目を透けてみせる塗り方で春慶塗に似ていますが、木地呂塗は最後に磨き上げをするのが特徴です。 赤や黄色で着色をする場合もあります。

    ●拭き漆{ふきうるし}
    下地とよばれる漆を塗る素地の形を補修して堅牢にするための作業をせず、直接、生漆を綿に浸し擦り込む方法。素地の表面の木目の美しさをいかすとともに、表面保護もできるのが特徴です。

    ●螺鈿{らでん}
    漆を使った細工の技法で、夜光貝、蝶貝、鮑などの貝殻を薄く削り、デザインにあわせて形を整え、漆を使って貼ったり、漆面に埋め込んだりします。虹色に輝く貝と色漆のコントラストが非常に美しく、高級感のある仕上がりが特徴です。薄貝を使ったものは、螺鈿ではなく、青貝とよぶ場合もあります。
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