材料、作り方の後には、完成された製品についての総合的な知識を知りたいものですね。ここでは、和家具そのものの成り立ち、製品の種類、おもな産地など、和家具の周辺でよく耳にする項目をかいつまんでご紹介します。

  1. 「和家具」の起源
    一般的に和家具という場合、西洋の家具(洋家具)に対して、日本の家具(和家具)という意味で使われています。西洋の家具の概念が輸入され、実際に日本で使われるようになったのは、明治時代以降です。それ以前にも、一部の階級では、輸入した外国製の家具を使ったり、たんすや棚(当時は調度・道具とよばれていました)など日本独自のものを使っている人々がいました。しかし、それはあまり一般的ではなかったのです。調度・道具が、家具という呼び名に変わったのは、英語の家具を意味する言葉「ファニチャー」に対して「家具」という日本の言葉があてられてからといわれています。
  2. 和家具の種類
    和家具には産地によってさまざまな種類がありますが、ここでは、テーブル類、箪笥類、小物類と、用途別に大きく3つに分けてご紹介します。

    ●テーブル類
    主にものを乗せるための台で、一枚の板に足を付けたというシンプルな造りが基本のため、その使い方も形もさまざま。ちゃぶ台でお馴染みの座卓、書をしたためる文机に代表される机、花などを置く台として使われる花台が代表的です。この他、造りは複雑になりますが、長火鉢や囲炉裏といったものも、テーブル類と似た用途で使われます。

    ●箪笥類
    物を収納する箱から発展したもので、種類も多く産地によってデザインも違います。衣類を収納するための衣装箪笥、現代でいう食器戸棚にあたる水屋箪笥、箪笥と棚が組み合わせられた飾り棚など、指物の伝統技術がいかんなく発揮されているものが多いのが特徴です。

    ●小物類
    目隠しや仕切りとして使われる他、オブジェとしても美しい衝立、装飾として使われるためデザインも多彩な置物、そのほか、脇息や座椅子などもあります。
  3. 指物{さしもの}
    釘を使わずに、継ぎ手にほぞを差して組み合わせた精巧な加工技法のことです。また、その技法で作られた家具をさす場合にも使われます。発生を辿ると寺社建築や仏具、厨子類にいきつき、その歴史は千年を越えるという指物の技術は、安土桃山時代から江戸時代の隆盛を経て、現在に至っています。京指物、江戸指物、唐木指物などがあります。

    ●京指物{きょうさしもの}
    平安時代の宮廷文化に起源をもち、室町時代の茶道文化とともに発展したといわれています。 現在でもその技術が伝えられ箪笥、机、棚などの調度類と茶道具などが作られています。木肌をいかした気品のある繊細なデザインは、簡素で風雅な京の都の貴族好みを思わせる特徴あるものです。

    ●江戸指物{えどさしもの}
    ルーツは江戸時代、徳川幕府によって全国から集められた腕のいい職人たちといわれています。東京下町では、現代でも、その技術が伝えられ、箪笥、棚、机、台、箱物、火鉢、茶道具、邦楽台などが作られています。あっさり、すっきりが身上のシンプルなデザインと木目をいかした風合いが魅力です。

    ●唐木指物{からきさしもの}
    紫檀、黒檀、花梨など唐木とよばれる東南アジア産の木を使うのが特徴です。唐木製品は、奈良時代に遣唐使によって日本に来たため、その材料である木も唐木とよばれるようになりました。現在は大阪周辺で棚、机、台、箱物などが作られています。褐色の色合いと異国情緒あふれるデザインが魅力です。
  4. 民芸家具{みんげいかぐ}
    民衆の生活の中から生まれた日用道具や備品と、明治14年に興った民芸運動によって創り出された新作民芸とよばれる家具のことをいいます。民芸運動は柳宗悦が中心になり、浜田庄司、河井寛次郎などによって興された「自然・質素・単純」の美を標榜した民衆的工芸の興隆運動でした。池田三四郎による松本民芸、大原総一郎が興した北海道民芸、吉田璋也の鳥取民芸などが各地で設立されました。現在も、土地に根付いた独特の味わいのある家具が作られています。

    ●松本民芸家具{まつもとみんげいかぐ}
    前身になる会社は昭和19年に設立、昭和23年に池田三四郎により長野県松本市で民芸家具の製作が開始されました。ミズメザクラをおもな材料に使い、欧米の家庭で使われていた家具を手本にしたというデザインが特徴です。イギリスやアメリカ開拓時代のウインザーチェアを手本にした椅子は、現在でもその代表作。

    ●北海道民芸家具{ほっかいどうみんげいかぐ}
    北海道のダケカンバをおもに使い、「用の美」をもつシンプルかつ美しいデザインの家具が特徴です。倉敷にゆかりの深い大原孫三郎は、民芸運動を支援した財界人の一人でした。その意志を受け継いだ息子・総一郎が、本格的家具作りのため、あえて倉敷から北海道に場所を代え、昭和39年に興したのが北海道民芸家具です。
  5. 家具のおもな産地
    現在、和家具の産地は、旭川(北海道)、飛騨(岐阜県)、静岡(静岡県)、徳島(徳島県)、府中(広島県)、大川(福岡県)などが代表的な場所として知られています。
    また、経済産業大臣が指定する伝統的工芸品の産地としては、岩谷堂箪笥(岩手県)、加茂桐箪笥(新潟県)、春日部桐箪笥(埼玉県)、江戸指物(東京都)、松本家具(長野県)、名古屋桐箪笥(愛知県)、京指物(京都府)、大阪唐木指物(大阪府・福井県・兵庫県・奈良県・和歌山県)、泉州桐箪笥(大阪府)、紀州箪笥(和歌山県)があります。
    仙台箪笥(宮城県)、庄内箪笥(山形県)、米沢箪笥(山形県)、二本松箪笥(福島県)、佐渡箪笥(新潟県)、三国箪笥(福井県)などは、古いものが現在も残っており、実物を博物館などで目にすることができます。
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